2010年7月3日土曜日

ダイナミックコース(研修セミナー)の内容を知るための1冊

ダイナミックコースまたはダイナミックアドバンスコースに申し込もうかどうか判断材料を探しているようでしたら、精神科医や心理学者などへの取材から感動体験型セミナーが受講者に及ぼす危険に警鐘を鳴らしている本をお薦めします。

自己啓発セミナー ― 「こころの商品化」の最前線 (新日本新書)

この本は、著者がランコード社(ライフ系セミナーの一派)のブレイクスルーテクノロジーコースなどの自己啓発セミナーに潜入取材した記録と、それに基づいた精神科医などの専門家によるコメントを交えたレポートです。

感動体験ゲーム型の自己啓発セミナーで参加者のテンションを上げていき、集団陶酔状態にしていく手口の一部を前回のブログに書きました。

この本にも、ダイヤード(p44)、選択の実習(p45)などダイナミックコースの内容が含まれています。

この本は、次のような目次構成になっています。
  1. 「こころ」が商品化されるとき
  2. 講義型セミナーの落とし穴
  3. “密室”での長時間のゲーム型セミナー
  4. セミナーではないと自称する“変形型”
  5. なぜ、受講者を虜にするのか
  6. 公然と語られない多くの「危険」
  7. 構造的な「のめり込み」を生む仕掛け
  8. 企業の職場研修へ進出するセミナー
この目次構成を見るだけでも、「これはまさにアチーブメントそのものじゃないか!?」と思わずにはいられません。

著者は、複数の自己啓発セミナーを比較する中で、次のような共通点を挙げています。
自己啓発セミナーもよく似ていると感じました。ベーシックコース(初級)は大半が通いだけれど、アドバンスなど中・上級コースは大半が合宿制。通いのベーシックコースも、早朝から深夜までびっしりのスケジュールで、日常性は事実上、絶たれます。

そんな特殊な条件のもとでのシェア(自己告白)や、日ごろ身につけている“カラ”を脱ぎすてた交流。ある心理学者はそれを、「集団暗示」状況だと指摘します。(引用)
著者は、複数の専門家への取材から「シェアがポイント」だと説きます。
数人の心理学者やカウンセラーに、BTコースの取材メモやゲーム型セミナーのプログラムを見てもらいました。共通して指摘されたのは、「シェア(分かち合い)が重要な役割を果たしている」こと。(引用)
この本では、精神科医が「高額もポイント」と指摘しています。この本では、心理学者らが実施するワークショップが3泊4日食事つきで2~4万円程度なのに対し、自己啓発セミナーがその10倍の金額を取る理由について、次のように述べています。
「大金を払った」ことが、すすんで成果を求めるという心理的効果を果たしているのかもしれません。(引用)
この本で著者は元受講者にも取材しています。彼は、最初のコースでは「感動もなく、何のせいかも得られなかった」にもかかわらず、「もっと強烈だから」と勧められたアドバンスコースに申し込んだそうです。そのとき、彼の胸をよぎったのは、「何か成果を獲得しないと最初のコースの15万円が無駄になってしまう」と思ったそうです。

これは、まさに私がスタンダードコースを再受講したときと同じ気持ちで、とてもよくわかります。

本書では「急激なプライバシーの開示」が危険だと指摘しています。この本の中で、精神科医が次のように述べています。
「極限状態と集団暗示状態をつくり、知らないうちにプライバシーをさらけ出すという心理的トリックのうえにつくられたのがセミナー。だから参加者は自分でブレーキをかけられない。セミナーの構造自体にそういう危険がある」(引用)
「セミナーで自己表現できだしたという人もいるが、それは他の方法でも可能。私はそんな“功”よりも“罪”の方が大きいと思う」(引用)
精神科医、心理学者など複数の専門家への取材から、ダイナミック(アドバンス)コースのような感動体験型セミナーが受講者に与える危険性に警鐘を鳴らしている点が非常に重要です。

ダイナミック(アドバンス)コースに10~20万円を投じる前に、950円で本書を買って、そのような感動体験型セミナーが受講者に与える悪影響や危険性を知っておくことをお薦めします。

自己啓発セミナー ― 「こころの商品化」の最前線 (新日本新書)

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